【VICE記事翻訳】世界最大のMr. Tコレクションを持つ男グレッグ “ミシカ” リベラ

アメリカのカルチャーマガジン”VICE”にMISHKAのオーナー、グレッグのインタビューが掲載されてました。
内容はMISHKAについてではなく、彼が収集しているMr. Tコレクションについて!(笑)
かなり長いインタビューなので所々割愛しましたが、翻訳を載せますのでお時間ある方はぜひ読んでみてください〜!

(以下翻訳)

グレッグ “ミシカ” リベラの無類のコレクションに感謝しない愚か者には同情する

グレッグ ”ミシカ” リベラは私の親友の一人で、私が知っている人の中で一番のコレクターだ。グレッグのコレクションが彼のアパートから溢れて事務所にまで侵出し、さらにはミシカのショップ、兄弟の予備寝室、フロリダの収納用ロッカーにまで流入しているのを見たことがある。もしかしたらアメリカ中の様々な秘密の場所に隠されているかもしれない。

彼のコレクションの何がそんなにすごいかというと、彼が収集しているのは平均的なコレクターが集める新聞の山やスターウォーズの人形なんかよりもっとユニークで奇妙な物だということ。昔のペプシのCMで使われていた、自然な動きをするETのパペットアームや、ミイラ化した人の手やボディーパーツ、たくさんのよくわからない古い日本のおもちゃ、野球賭博でMLBを永久追放となった野球界のスター、Pete Roseが「すまない、俺がJFKを撃った」と書いたサインボールなんかも持っている。グレッグは、ほとんどの人が聞いたこともない分野の専門家でありコレクターだ。彼の異常なまでの収集は、Johny RyanがVICE掲載用にコミックを描いたほど。

グレッグの所有物は、僕がこの目で見たことのある物の中で最も奇妙で美しいオブジェクトのうちのいくつかであり、そのコレクションの中でも最上のお宝は、昔作られたMr. Tグッズだ。僕がグレッグに会った時、僕自身もMr. Tのコレクターだと思っていた。”Mr. T & Me”の子供用の本のシリーズをいくつか持っていたし、”Mr. T’s Commandments”のアルバムも持っていた。しかしそんな物は氷山の一角にすらならなかった。
グレッグは、Mr. Tの名前と顔の使用許可のもと製造された、ありとあらゆるグッズを持っていた。ブートレッグ製品もだ。制作されなかったMr. TカートゥーンショーのためにJack Kirbyが描いたコンセプトアートも持っているし、かつて1980年代に、子供にシリアルを食べさせる親たちを励ました”Mr. Tシリアル”のプロモ用等身大ディスプレーをも持っている。

彼のMr. Tコレクションのハイライトは、100体以上あるハンドメイドのMr. T人形。息子や娘、姪や甥のために親や家族が手作りしたものだ。その人形の型紙はアメリカで大ヒットした”Cabbage Patch Kids”人形のものに次ぐセールスで、驚くほどの数の人形が世に溢れかえっていた。素晴らしくて通俗的な郷土芸術だ。同じ型紙で作られたにも関わらず、それぞれの人形に味があった。人形の製作はそんなに簡単なものではないし、人形の肌の部分に使う、推奨された生地もなかなか見つけづらい。それぞれのMr .T人形に違った不完全さがあって、その不完全さこそがそれらを美しくしている。

グレッグはこの秋、彼のコレクションを記録した本を作る構想を持っている。そのため、数々の保管場所からMr. Tコレクションを回収して撮影し、Mr. Tについての文章を書くのに忙しかった。Kickstarterでクラウドファンディングを募り、寄付してくれた人にかなりユニークな報奨品も用意している。

それではグレッグに、彼のコレクションやMr. Tなどについて聞いてみよう。

VICE: Mr. Tについてはどのくらい知ってる?
Greg: 十分知ってると思うよ。

彼の本名は?
Laurence Tureaud。でもこんな話を聞いたことがあるんだ。LAのスーパーで彼と話してた男の話。彼がMr. Tに「わかった。またな、Laurence」って言ってて、Mr. Tが「母親くらいしかその呼び方するやつはいねぇよ」って答えたらしいんだ。俺が思うに、母親以外にはMr. Tで、彼はLaurenceなんだよ。

いいストーリーだね。彼は何年生まれ?
1952年5月21日。スラスラ言える事実がどのくらいあるかわからないけど。彼そのものに魅了されたと言うよりは、彼のグッズを集めることにもっと魅了されたんだよね。とどのつまり彼はただ人間だし。まだ彼に会ったこともないんだ。

Mr. Tのコレクターはそんなに多くはいないんだ。俺の知ってる限りでは、俺を含めて4人。1人は俺も知ってるやつで、彼はサインとかMr. Tが映画で着てたオリジナル衣装とか、俺の興味ない物を集めてる。

Mr. Tの見た目が好きなの?
Mr. Tの見た目が好きで、彼に関係するアートワークも好きだよ。

子供の頃にMr. Tのグッズを本気で集めたいと思わせた出来事があったの?
子供の時、12インチのMr. T人形が本当に欲しかったのを覚えてる。いとこが持ってて本当に嫉妬してたんだよ。コネティカット州から引っ越した時に母親が俺におもちゃを全部売らせたことも今日思い出したよ。

君の問題のルーツを発見した気がする。
たぶん…中学生の時フロリダのフリーマーケットに行って、Mr. Tシリアルのダンボール製等身大ディスプレーを見つけたんだ。持ってる中で一番レアな物の一つだね。覚えてる中では、それが収集の始まりだと言えるかな。

それにいくら払ったの?
5ドル。

それは今どのくらいの価値になってると思う?
200〜300ドル。

じゃあMr. Tのグッズはそんなに価値のあるものじゃないんだ?
うん、そんなに価値のあるものではないよ。最初にeBayで買い始めた時、それが魅力の一つだった。他に買う人が全然いなかったから、かなり簡単に入手できるものだったんだよ。Mike Esslに出会うまではね。彼はMr. Tグッズのオンライン入札で俺のメインのライバルになったよ。

彼は君より長いことMr. Tグッズを集めてたの?
俺はMikeに会う前にMr. Tグッズに本気になり始めてた。まだ大学にいた頃。Populuxeって店があったんだけど、そこのオーナーのBrianがMr. Tグッズを2〜3棚くらい持ってて、彼からたくさん買ったよ。その後eBayが出て来て、そこで買い始めたんだ。

当時の彼のコレクションはどのくらいだった?
俺のコレクション量にはほど遠かったよ。彼のはたぶん本棚1つ分くらい。俺のはほとんど壁2面を埋めるくらいあったからね。1998年頃かな。その後俺たちはお互いに張り合って入札するのをやめてeBayでの休戦を決めたんだ。

Mikeが「お前は本当にタフな顧客で、心にMr. Tへの情熱をたくさん持ってる。俺もそうだ。だからお互いの道を邪魔するのはやめよう」って言って来た。彼はフルタイムで働いてて俺よりお金を持ってて、俺はまだ学生だった。俺も彼により高い値段で買わせていたことになるんだ。目的は、Mr. Tのオークションが何かしら出て来たら、せめて俺たちのどっちかが落札したの確認すること。そしたらどっちが持っていようと関係ない。相互コレクションなんだから。

ハンドメイドのMr. T人形を最初に見たのはいつ?
Populuxeのオーナー、Brianが最終的に彼の全コレクションを俺に売ってくれて、俺はそこで働くことになったんだ。給料をもらう代わりにMr. Tグッズをもらって。彼が売ってくれなかったものが1つあるんだけど、ブートレッグのCabbage Patch Kidsみたいな感じの、彼のハンドメイドのMr. T人形だったんだ。eBayも彼が俺に教えてくれて、すぐにそこで買い始めた。どんなものでもカスタムされてても、見かけたMr. Tのグッズは全部買ったよ。

当時どのくらいの数売られてた?
毎月2〜3個出てた。いつも10〜20ドルで落としてたよ。

全部ハンドメイドで、一つ一つ全部違いがあって嬉しかった。それぞれに愛のある苦労が見られて、それぞれに作った人の味が出てて。プロの人形職人が作ったような、型紙に忠実なものもあったりして気に入ってた。その人の子供のために作られたものもあったな。
eBayで買ってた時、売り手が自分の息子のために作ったけど気に入ってもらえなくてクローゼットに置き去りにされてたって説明書きもよく見たよ。それで息子が大学に行ってる間に売ってたり。

なんで多くの人が「子供が気に入るものはわかってる。それはソフトで抱きしめたくなるようなMr. T人形だ」って考えたんだろう?
George Jeffersonみたいな大人の男の人形だからね。
みんながCabbage Patch Kids人形を欲しがってて入手できなかった。いろんな会社が独自の型紙を作ってたんだけど、Martha HolcombeがMr. Tバージョンの製作を思いついた。Cabbage Patch KidsもMr. Tも人気だったから、彼女はそれらを結びつけたんだ。

実際、型紙本が指示する通りに人形を作るのは本当に難しいんだ。だからそれぞれ違った味が出るんだと思うけど。ドンピシャの生地を見つけられなかった人がいたり、目に色を塗る人がいたり、目を刺繍する人もいた。服も手作りする人もいれば、ぴったりフィットはしなくても赤ちゃん用の服を買って来てそれで済ます人もいる。

Mr. Tみたいな見た目の人形を手作業で作る親が何千人もいることが僕にはとても奇妙に思えるよ。
俺にはそれがたぶん魅力だったんだと思う。この前Martha Holcombeと話してたんだけど、かつてはWalmartが彼女の最も大きな顧客の一つで、1ヶ月に何千もの人形型紙を売ってたらしいよ。

お気に入りのMr. T人形はどれ?
名前をつけた人形がいくつかあるんだ。Sinbadに似てるからSinbadってのがいて、Gary Coleman、John Belushi、Eric Wareheimもいる。ボリウッド(インド映画界の)スターに似てるのもある。彼はオレンジ色の肌をしてて本当に派手な服を着てるんだ。眉毛がモジャモジャのやつもいて、Evel Tって呼んでる。小さいMr. Tもたくさんいるよ。口ひげじゃなくて顎ひげを生やしてるやつらもいてAmish Tって呼んでる。

もし人形が完全な服を着てなくてもその人形を収集するの?
そのままの状態にしとくのが好きなんだ。10年以上経ってから子供用のナイキや小さいブーツなんかをリサイクルショップで見かけて人形用に買ったこともたまにあるけどね。でも大抵は見つけた時のままの状態だよ。「なんでこの人形は裸なの?」とか「なんでこの人形はズボン履いてないの?」ってよく聞かれるけど、なんらかの時にズボンがなくなったんだから、それはそのままでいいんだよ。

Mr. Tの人形は何体持ってる?
200体くらいだと思う。

まだ買い続けるつもり?
キリがないからもう買わないようにしてた。全部集めようと思った時期もあったけど、もう十分集めたし、何体作られたか知る由もないし。1個持ってるだけでも人はびっくりするし、50個持ってたらみんな吹き飛ばされるくらい驚くし、200個持ってたらもう「わぁ、なんかクレイジー」って言われるレベルだよね。

僕は「なんかクレイジー」とは言わないけどね。自分はTマニアという病気だと思う?
そう思うよ。

こういうMr. T人形は郷土芸術だと思う?
そう思う。雑誌”American Folk Art”が10年前にこの人形たちについて俺にインタビューしたよ。その雑誌には風向計や奇妙な形をした女の子と犬の絵が載ってて、そのあとに俺と俺の人形たちが載ってる。俺のコレクションはアメリカンフォークアート美術館にも現代郷土芸術として認められたんだ。俺の人形たちがそのうちアメリカンフォークアート美術館の恒久的なコレクションになったらいいな。

人形たちは今どこにあるの?君の家?
サンタアナのQuang Leの家にあるんだ。本のために彼がそれを撮影してて、人形だけで1部屋全部使ってるよ。

じゃあ人形たちは今は倉庫外にあって、そのうち戻って来たら、君と奥さんのLesaと一緒に君の家で暮らすんだね。
いや、今そんなことしたらLesaに殺されるよ!Mr. Tの言葉を覚えとかなきゃ。「お前の所有物に所有されるな」ってね。

【元記事】
VICE | Meet the Guy with the World’s Largest Mr. T Collection
文:Nick Gazin/写真:Quang Le